私は、長いことVE手法の教育や導入・展開に携わってきましたが、VEの本質は改善対象に求められている機能(目的)を把握して、その機能を達成するための最適な手段を創造・選択することです。しかし、実際のVE活動において最適な手段を選択する際に、様々な障害が出てきます。やはり、新しいものへの警戒心や現状のモノに対する安心感などから変更することに抵抗があるのだと思います。その際に、私が良く持ち出すのは下記の言葉です。 イギリスの著名な生物学者であるチャールズ・ダーウィンは、進化論の中で「唯一生き残ることができるのは、変化できるものである」と述べています。ほとんどの企業は、コンペチターと熾烈な生存競争を行っています。生物でなくとも企業であっても、競争を勝ち抜くためのポイントは、ダーウィンの言われるように、企業環境の変化に柔軟に対応することだと思います。実践活動の中で、変化への抵抗勢力が出てきた際には有効なキーワードと思います。
20日 11月 2024
40年強の間、収益改善活動、コスト低減活動を推進、実行してきましたが、改めて最も効果的な視点は、部品点数削減であると思います。本文の中にも書きましたが、部品点数が多いことは、コストを増やすための悪の根源であると考えます。逆に言えば、部品点数を削減することはそれだけ効果があります。部品点数が少ないという事は、図面の枚数も少ないわけなので、設計のリソースが減ります。また部品の管理費、在庫スペース減に伴う費用、金型費、数量効果による購入資材費などが削減できます。また品質向上や信頼性向上にもつながります。 その部品点数削減に最も効果的な手法は、手法②で述べたDFAです。DFAを活用することで部品点数の少ない競争力のある製品、商品作りが可能となります。
30日 4月 2020
我々が、日々仕事の中で、コスト評価が必要なる場面が多々ある。コスト評価にも色々な方法があるが、一般的なものは以、下の2つである。一つはコスト積み上げ方式と呼ばれる考え方である。これは正に製品を作る過程で消費する費用を累積するやり方である。例えばある部品の材料費を計算して、加工費を計算して、経費を計算する方法である。もう一つの考え方はVEで言うところの機能コストの考え方である。これは、モノを作る過程で消費される費用は一切考慮せず、あくまでもその製品の機能をコストで評価する考え方である。やり方としては、類似製品群の現有価格を目的変数としてその製品のもついくつかの機能パラメータを説明変数として重回帰分析を行ったものである。今後のモノづくりを考えると、一つはAIやロボットのように単純に製造工程が判らない、ブラックボックス的な製品が増えると思われる。もう一つは、グローバルな市場になるので、材料費や人件費も日本の物指しでは測れない状況が増えてくる。よって積み上げ方式のコストテーブルは構築やメンテナンスが非常に大変である。一方、重回帰式を活用した統計的なコストテーブルは、ブラックボックスであろうと途上国で作った商品であろうと容易に機能コストを評価する事が可能です。またこの考え方は、分析母数が類似機能部品群であるためにコストテーブル機能以外に共通化・モジュール化の検討や、目標コスト設定、割高購入部品の抽出等々の用途に活用する事も可能である。結論として、業務を遂行する上で有効なツールの活用は大いなる武器になり得る筈である。
20日 9月 2019
私の専門分野のひとつにVE(価値工学)がある。価値を向上させる為のプロセスや方法が中心となる概念なので、当然価値とはなんぞや?というのがポイントとなる。VE概念が米国で誕生し約70年経ちますが、価値を評価する為の評価式はValue(価値)=Function「機能」/ Cost(コスト)という方程式で定義されて、当初から現在まで不変である。...
27日 7月 2019
本HPで述べているようなVEとかDFAを活用したプロセスでも、アイデアを発想する段階では、行き詰ってしまうケースは良くあります。それは、やはり我々が従来からの知識や経験の延長上でものを考える習慣が身についているからと思います。 そこで意識的に過去の経験・知識をリセットし、ゼロベースで考えることがトリガになる可能性があります。...
24日 11月 2018
一般的に我々の機能向上やコスト低減活動の対象になるのは「モノ」である。そもそも「モノ」は人々が生活環境向上や作業効率を上げるために存在すると考える。ゆえに人の存在が在ってゆえの「モノ」であり、人との接点・インターフェースがなければ改善対象である「モノ」の使用目的は果たされず、単に不要な物体が転がっているだけである。つまり例えばVE活動において「モノ」だけを対象に機能分析を行っても不十分である。人との接点部分を含めた系(システム)全体で機能分析を行う必要がある。更に上記で述べたように人々の「モノ」を使用する際の作業効率向上を考えるなら、人の行っている機能を如何に「モノ」の機能に移管するかが、差別性ある商品作り・価値の高い商品作りを促進することにつながる。人から「モノ」へ一方的に機能移管することは逆に弊害を生むことも考えられるので、臨機応変に移管方向を考える必要はあるが、この機能移管という視点は、非常にユニークな視点になり得ると考える。
05日 5月 2018
全体最適にも色々な視点があると思いますが、一回目はVEの概念に近いライフサイクル視点での全体最適(部分最適、全体不適)についてお話ししたいと思います。...
23日 4月 2018
長年、コスト低減活動に関わってきて、まだコスト低減の余地がありそうな視点がいくつか見えてきました。そのひとつが、本クリニックの「3つの視点」で触れている『全体最適』の視点です。車を運転しているドライバーの皆さまだったら、誰でも経験があると思いますが、年がら年中、道路を掘り起こしているのでは?と思われる道路工事にはストレスが溜まります。ある時は電気工事、ある時は上下水道の配管工事、ある時は電話線工事、ある時は本来の道路補修工事・・等々です。各工事の主管部署が異なる為に上記状況が発生するようですが、ドライバーの立場で言えば、同時に工事してくれ!と言いたくなる事例です。これは特殊で稀な事例と思われるかもしれませんが、一般企業でも似たような状況が多々発生するような企業の仕組みになっております。各組織がそれぞれの部分最適を追求するあまり、結果として全体的なバランスを欠き、部分最適ではあるが、全体では不適であって、結果として企業収益を阻害しているという状況が生まれがちです。企業でのコスト低減活動の歴史を見ると部分最適追求は長年に渡って追及してきたので、すでに色々な施策をやり尽くして成熟段階の状況だろうし、結果としてコンペチタ―との差別化が図りにくい状況と思われます。一方、全体最適の視点で言えば、例えば組織横断での、あるいは機能横断での、あるいは市場横断のような分野での全体最適追求の活動は、まだまだ改善余地が十分にあると私は思っています。次回以降順次、ここであげた各分野での事例を踏まえながら部分最適の弊害と全体最適の有効性についてご紹介いたします。
12日 4月 2018
4つの手法で紹介している「VE」の最大の特徴は、目的思考です。 我々は、日々の生活や仕事の中でついつい目的を考えずに行動や判断をしてしまいます。 VEの考え方を身につけて、常に目的を考えて効率の良い行動や判断をしたいものです。 *参考までに哲学者パスカルの言葉を引用しますと・・・...