長年、コスト低減活動に関わってきて、まだコスト低減の余地がありそうな視点がいくつか見えてきました。そのひとつが、本クリニックの「3つの視点」で触れている『全体最適』の視点です。車を運転しているドライバーの皆さまだったら、誰でも経験があると思いますが、年がら年中、道路を掘り起こしているのでは?と思われる道路工事にはストレスが溜まります。ある時は電気工事、ある時は上下水道の配管工事、ある時は電話線工事、ある時は本来の道路補修工事・・等々です。各工事の主管部署が異なる為に上記状況が発生するようですが、ドライバーの立場で言えば、同時に工事してくれ!と言いたくなる事例です。これは特殊で稀な事例と思われるかもしれませんが、一般企業でも似たような状況が多々発生するような企業の仕組みになっております。各組織がそれぞれの部分最適を追求するあまり、結果として全体的なバランスを欠き、部分最適ではあるが、全体では不適であって、結果として企業収益を阻害しているという状況が生まれがちです。企業でのコスト低減活動の歴史を見ると部分最適追求は長年に渡って追及してきたので、すでに色々な施策をやり尽くして成熟段階の状況だろうし、結果としてコンペチタ―との差別化が図りにくい状況と思われます。一方、全体最適の視点で言えば、例えば組織横断での、あるいは機能横断での、あるいは市場横断のような分野での全体最適追求の活動は、まだまだ改善余地が十分にあると私は思っています。次回以降順次、ここであげた各分野での事例を踏まえながら部分最適の弊害と全体最適の有効性についてご紹介いたします。